我が家の瓦は、いわゆるスレートです。これがところどころと言うのは少し控えめすぎる表現ではないかと躊躇するほど、補修されている箇所があります。落ちかかって雪止めに引っかかっている瓦を救出したこともあります。
ある日家の前の道に、瓦が砕け散って散乱しているのを発見しました。「この色は?」隣の家の屋根の色と我が家の屋根の色を見比べます。「いやあこれはうちだな」
少し離れたところから屋根を観察すると、あきらかに「1枚無いぞ」というところを発見してしまいました。2階のルーフバルコニーから脚立を使って屋根の上に登ってみます。
そこは瓦が割れて下半分がなくなっていました。悪いことに、瓦の下の防水シートみたいなのが見えています。これは直さなくちゃいけないやつですね。しかし冬の雨の少なさに甘えて、ずっと放置していたのでした。
季節は進み、巷では10連休。雨の季節がもうすぐやってくるので、ようやく重い腰をあげました。
会社から持ってきたロープをタープを張るための柱に縛り、それを命綱として屋上から屋根に上がります。ここからだと踏み台で楽々上がれます。
この上がり始めの部分は、かなり修復されたあとがあります。踏むと割れそうで怖い。落ちる恐怖より、瓦が割れる恐怖で足がすくみます。直すべきところに到達するまでに、1枚割ってしまいました。瓦の鼻先だけなので、雨漏りの心配はないでしょう。
割れている箇所に下に落ちていた半かけを当ててみましたが、形が合いません、どうやら別の所のものだったようです。仕方がないのでペンチでパクパク挟んて割り、形を合わせます、
形があった所で既存の瓦の、なにかの印に合わせて半かけの瓦にバカ穴を、その穴を元に既存の瓦にも穴をあけました。狙いとは少々ずれましたが、まあ良しとしましょう。
固定はステンレスのコーススレッドです。コーススレッドを打つ穴に、コーキングをうりうり注入。こを打ったら、その頭にもコーキングをもりもり盛って完成です。
作業が終わって、最後の掃除のために屋根の上に上がった時に、3枚ぐらい「パキッ」と音をたてていました。あわててその瓦を見たのですが、なんともなっていないように見えます。潜在的な不安を増加させて、作業は終了しました。この屋根の塗装を自分でやるのは絶対に無いな という自信は確固たるものになりましたね。
実はこの作業の前後にあることがあったのです。作業をやる1か月ほど前のこと、嫁の在宅中にインターホンがなりました。モニターの中の作業員風の男はこう言ったそうです。
「近くで工事しているものですが、お宅の屋根の瓦がはがれてますよ。このままにしておくと雨漏りしてしまうから釘だけでも打っておきましょうか?」
なんと親切な人でしょう。嫁は
「うちは主人がやるから大丈夫です」
なんとよくできた嫁でしょう。
そして作業が終わって10日ほどたった頃に、また訪問者があったそうです。
「そこの〇〇さんで工事しているものなんですけど、お宅の屋根の瓦が割れていますよ。釘だけでも打っておきましょうか?」
なんと親切な人でしょう。嫁は
「うちは主人が全部やるので大丈夫です」
この話を聴き、この前の修理でパキッた瓦が落ちたのかと思い、屋根を調べてみました。欠落している所はありません。 なにか怪しい
〇〇さんて知っているかと嫁に訊くと、わからないとのこと。もしかしたら本当にあるかもしれませんが、表札を見て語っている可能性があります。調べてみました。
「瓦 割れ 訪問」
なんと、瓦の点検を無料でやると言って屋根の上にあがり、自分で瓦を割ってその写真を見せ、修理の仕事を受注するという、ダークな業者がいるそうです。釘を打ってあげると言えば、ハンマーを持って屋根に上がるのは自然なことです。
皆様もお気をつけください。